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本と、朝ごはんと、私の好きなもののハナシ

Not Working/ Lisa Owens

これは私が通っていた大学院のクリエイティブ・ライティング学科(あのカズオ・イシグロの通っていたコースです!)の卒業生が書いた小説です。

 

洋書はカバーが可愛いので、いわゆるジャケ買いをかなりしてしまいます。

 

今回の購入理由もカバーがビビッドな青と黄色で可愛かったことがかなり大きいです。

 

あとは「Not Working」なので、働いていない人、ニートって外国ではどんな感じで描かれてるんだろうと思ったこと。

 

主人公は新卒から7年間勤めたエンジニアの仕事をやめて、絶賛求職中ニートの女の子。転職活動もうまくいかないし、「なんとなく」で始めた最初のキャリア以降、自分が何をしたいのかよくわからない。

 

そのうえ、

 

長年付き合っている彼氏(優秀な脳外科医!)と同棲してるけど最近すれ違いが多いし、新しい女の影がちらついて二人の関係もなんだかギクシャク。

 

両親との関係もあんまりよくないし、おばあちゃんも自分以外の孫ばかり可愛がっていて面白くない。

 

周りの友人は婚約したり、やりがいのある仕事についてバリキャリの道を進んでいるし自分は取り残されてる感じがする。

 

というような心がもやもやする問題が次々に降りかかってきます。

 

自分は何をしたいんだろうと将来を模索しながら悩んでいるうちに毎日が過ぎていく。

こうした日常が、主人公の視点から日記のようにポツポツとした語り口で紡がれています。悩み事の核心に直接的には言及しないけど、物事の切り取り方や見方、描写の仕方で主人公の感情がひしひしと伝わってくる感じの書き方です。

 

ひとつのことが上手くいってないと他のことも全部ダメダメに感じて不安になったり落ち込んだりという気持ち、すごく共感します。

 

小説の舞台はイギリス・ロンドンですが、こういう感情とか悩み事とかは全世界共通なんだな〜と言葉を超えたところにある人間心理の面白さに思いを馳せてしまいました。

 

劇的なクライマックスがあって何もかもさっぱり解決!というわけでもなく、淡々と物語が終わっていくところも「日常」を切り取った感じがして、よりリアルな面白さがありました。

 

あとはタイトルの Not Working は「働いてない」のと「うまくいってない」のをかけた言葉なのかな〜と勝手に想像してみたり。

 

これ翻訳してみたいな〜とも思った本でした。

 その場合タイトルはどうしようかな。